人間風車とモモ
人間風車2000年版(生瀬勝久主演)のDVDを先日購入しました。
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2007/10/17
- メディア: DVD
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ちなみに2004年版(入江雅人主演)は生観劇している。
生で観たときもいたく感動したのですが、サムを演じるのが河原雅彦か阿部サダヲかっていうのはものすごく大きな差だと思います。アキラを演じた永作博美と斉藤由貴の差っていうのもあるけれど。個人的には2000年版のキャストで観てみたかったので、DVDを購入したわけで。
すばらしかったです。
ストーリーの詳細は省きますが、話がふわっと広がり心を包むような生瀬さんの童話の語りが素晴らしかった。語りが素晴らしいから、こどもたちやサムが「それでどうなるの?」という表情をするのと同じタイミングでこっちも「どうなるの?」と思っている。だから感情移入がしやすい。感情移入できるから感動のふり幅も大きくなる。本当に素晴らしい技術だなあと思いました。
クライマックスで舞台が転換して、あるものが沢山映し出されるのですが、その転換に思い切り泣いてしまいました。生で観たときも泣きましたが、存在を忘れていたもので感動二倍。あれはずるい。お話をつくることの意味に少しでも触れたことがあれば、あれを観て泣かずにいられようか。虚構の山がひとりの人間にとってとても大きな意味を持っていて、その意味が残酷なまでにひとりの男を突き落とそうとしているのだという因果さが如実に現れている舞台セットだ、あれは。
で、その転換を見ていてふと思い出したのが「モモ」。
- 作者: ミヒャエル・エンデ,大島かおり
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/06/16
- メディア: 新書
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子どもの頃読んだ、色々と印象深い小説なのですが、この話に出てくる詩人のジジが大好きでねえ。モモがみる夢だったかな。もうモモと一緒にいられなくなってしまったジジが、お話の書いてある紙をひたすら吐き出し続けるっていうシーンが確かあったんですけど、それをすごくよく覚えている。非常に悲しくて切実なシーンでした。
モモは「時間に追われて人間らしさを失った大人が」みたいな切り口でよく紹介されるけど、それはあくまで手段であってストーリーのテーマじゃないよね。大事なことをきちんと見て、自分の頭で考えること。その大事さを少女が知覚し成長していく素晴らしいジュブナイルだと思う。大人のための童話とか、大人のための絵本ってキャッチ流行ってるけど、絵本も童話もあくまで子どものもので、子どもがどういう受け取り方をするかは自由で(別にモモ読んだ感想が「ホットチョコレートうまそう!」でもいいのだ)、そこに大人が間借りさせてもらってることを忘れちゃだめだよね。もちろん私は童話も絵本もジュブナイルも大好きですが。