2013冬季国体見てきたよ。

正式には「スポーツ祭東京2013冬季大会」…なのですが。
まあ、観てきたといっても観れたのは成年女子のFS、しかも上位2グループだけでしたが。それでも、観に行ってよかったなと思います。いわゆるトップ選手ばかりが出るグランプリシリーズ等とは違い、中心となるのは大学生スケーターたちで、だからこそ観えるものが多かった。
考えてみれば当然なのだけれど、強く感じたのは「あ、この競技は寂しい競技だな」というもの。あんなに広いリンクで転んでも音楽はどんどん進んでいくし、先生も仲間も観客も助けることはできない。すぐ立ち上がって笑顔で次の課題に移らなくてはいけない。それはとても寂しく辛いことに見えました。
あと、最終グループに入ったときのリンクの狭さにも驚きました。その前の6分間練習ではリンクはとても広く見えたのに、突然ぎゅっと狭く見えて「こんな広さじゃ選手同士ぶつかるんじゃないか」と思ってしまった。選手の技術があがったことをこんなに如実に感じたのは初めてだと思う。
なんせ国体なので様々な選手がいて、オリンピック代表だった選手や次にそれを争う選手もいれば、これで引退の選手も、引退したけれど戻ってきた選手もいる。そのモチベーションが様々であることが、とても素敵に見えました。
特に澤田亜紀ちゃんの滑った「篤姫」は素晴らしかったです。スケートから遠ざかっていて国体のために戻ってきたので、3回転のジャンプはトウループがせいぜいといった感じでしたが、何から何まで丁寧に気持ちを切らさずに滑っていたのが印象的でした。彼女は四大陸選手権で4位入賞を果たしたこともある素晴らしい選手ですが、体型変化からのシニア移行がなかなかうまくいかなくて、現役時代の最後の方はジュニアの頃の期待度からすると少しだけ残念なものだったと思います。もちろん、彼女のスケートはいつも素敵だったし、けっこう気持ちが顔に出る子なので、彼女なりに納得して、スケートが好きなんだろうなと思ってはいたけれど。成績が落ち込んでしまったシーズンのことを「スケートと喧嘩していた」と表現した頃に比べれば、ずいぶんスケートと仲良くしているものだと思ってはいたけれど。
引退して、改めて呼ばれて戻って、代々木第一体育館で演技をする。それは競技人生からすればフィナーレの後のアンコールみたいなものかもしれない。でも私は彼女のアンコールを現地で観れて良かったなと思う。優しい雰囲気のスタートのポーズ、回転数は少ないけれどきっちりしたジャンプ、きれいで速いスピンや柔らかいスケーティング、そして何より今の彼女が、かつて「スケートと喧嘩していた」彼女が思いがけずここでスケートと再会して、丁寧で素敵な演技を見せてくれたことが嬉しくて、感動的で、まさに銀のロマンティックだなあと思って泣いてしまった。泣いていたのは私だけではなく、周りのお客さんもけっこう涙ぐんでいた。スタンディングオベーション、そして客席から聞こえた「亜紀ちゃんありがとう!」の声。手を振って深く礼をした彼女の姿。忘れられないシーンでした。

他にも長谷川奏ちゃん(埼玉)が素晴らしい演技を見せて会場を沸かせたり、村元小月ちゃんが引退試合で素晴らしい演技をして泣いた…と思ったら誰よりも泣いていたのが妹の哉中ちゃんだったり、村主さんは相変わらず村主さんで美学のあるスケートをしていたり、今井遥ちゃんに対してお客さんが最初から「うちの遥」状態で盛り上がっており、しかもとーってもいい演技だったもんだから点数が出るまでの手拍子が大変なことになっていたり、あっこちゃんのしんどそうな感じが心配だったり、語り尽くせないほど面白かったです。
やっぱテレビで観て「スケート面白いな」と少しでも思った人には、一度生で観てもらいたい、できれば試合をと思ったのでした。シニアの大きい大会はチケット取れないけど、国体、ただだし。