ベジャール・ガラ観てきたよ

ブログのほうにつきましてはお久しぶりであります。
東京バレエ団はギエムがボレロやったとき以来。3年は前だな。ていうか感想書いてないな…というわけで、東京文化会館ベジャール・ガラを観てきました。演目は「ドン・ジョヴァンニ」「中国の不思議な役人」「火の鳥」。
ドン・ジョヴァンニ
これは数年前も観たけど、けっこう好きな演目です。要は「女性たちとプレイボーイ」を描いたモーツァルトのオペラにかこつけて「バレリーナと権力者」みたいな図なわけで、バレリーナにとっては絶大なる権力者だったであろうベジャールがこれを女性たちに振りつけたのは物凄く意地悪だなーと思ってぞわぞわする。でも好き。バレリーナたちはにこにことキャッキャウフフしながら「私を見て!私の魅力に気づいて!」という芝居をしていて、私はとにかくそういう気の強い女の子の自己主張がとても好きだ。最初のポーズからしドガの絵みたいで可愛らしいし、ラストのオチもキュート。あと、本を持ってる子が今井遥みたいで可愛かった。
中国の不思議な役人
「客引きをする娘」と「若い男」が男女逆転。しかもどうやら原作は「娘が脅されて嫌々ながら客引きを」みたいな感じらしいけど、ベジャール版は毒婦のドラッグクイーンといった風体。途中何度かバレエにあるまじき感じで廃退的な歩き方をするシーンがあってゾクゾクした。奇妙な客人である「中国の役人」とどっちに感情移入できるかといったら役人なんじゃないかという感じ。役人も気持ち悪いんだけど、妙にピュアなところがあって憎めない。でもやっぱり怖い。ぐるぐるといろんなものが揺らいでいく感じが圧巻でした。中国の役人役の小林十市さんはフランスに行かれるとのこと。花束を貰って涙ぐんでいた。晴れ舞台に相応しい素晴らしい演技だったと思います。ちょっと言葉にならない。
火の鳥
みなさん大好き、町田樹のFSでもお馴染みのあのプログラムをベジャールが!さすが先生、一筋縄ではいかず、火の鳥の衣装が「鳥」というよりは「体操ニッポン」「グリコのお兄さん」ちっく。ラストのポーズもなんだか出初式みたいでおめでたい感じ。しかし「肉体の持つ生命力」で「火の鳥」を語ろうという感じが意欲的で、やはり素晴らしい感性の持ち主だったんだなーと思いました。
今回、運よく前から4列目だったので、本当にいろんなものがよく見えました。よく見えるわりにバレエで最重視してるポイントでもある「足の甲」が死角だったのは残念ですが、贅沢言っちゃいけません。「ドン・ジョヴァンニ」のときはバレリーナの女性たちの鎖骨の下側が浮き出てるのを見て「ごはんたべて!」な気分に一瞬なりかけたり、「中国の不思議な役人」の娘役ダンサーさんのメイクが森山未來のヘドヴィクみたいだったり、引き摺られていく中国の役人の叫び声がばっちり聞こえたり、小林さん泣いてたっぽかったり「火の鳥」の汗が飛び散っていたり、色々興味深かった。本当に楽しかったなー。
思わぬ邂逅もあったりして、本当に楽しい一日であったよ。