NHK杯はじまりましたね

平日はもちろんお仕事なので、ペアとダンスは録画して女子SPだけ観ましたよ。
何しろ女子は人気・注目競技なのでBShiではなく地上波生放送してくれるんですよねえ。ただ、皆様のNHKなのでニュースとの兼ね合いもあって下位選手は地上波の隙間にボッシュートされてしまふわけです。そんなわけで今年も愛しのジェナ・マコーケルとかヴィクトリア・ヘルゲソンが飛ばされました。他の選手の点の出方を見ると、ジェナはジェナ比で素晴らしい演技だったんじゃないかと思しき点数なので悔しいです。とりあえず2Aがかっこよかったという予想をしておきます。では、観た人の感想を。

アシュリー・ワグナー「ワンス・アポン・ナ・タイム・イン・アメリカ
昨シーズンと同じプログラムですが衣装を変えてきました。赤だし、ちょっとフェミニンな印象になったかも。ずっと左足で滑っていくシークエンスが挑戦的で素晴らしかったです。相変わらず、この人の演技が好きだなあと思いました。表情も豊かだし。ちょっと絞れてないかな?という印象も受けましたが、重そうというほどではなく。ちょっとしたミスに引きずられて焦ってしまう癖はだいぶ良くなっているようです。ちょっと前まではポニーテールぶんぶんだったあの子がすっかり素敵なレディで、そう言った意味でも見ごたえがありました。メイクも上手だし。ちょっと鼻たて多めだったけどね。しかしフィギュアほどメイク傾向が選手によって違う競技も珍しいよな。舞台化粧ベースと日常おめかし化粧ベースに分類できそう。

村上佳菜子「ジャンピング・ジャック」
ニュープリンセス誕生に相応しい元気な演技。衣装はなんかシニアデビューに際して気合を入れ過ぎてしまった感じの山田組カラーでしたが、全体的な雰囲気や表現したいことにはマッチしていた気がします。ぴょんぴょん飛び跳ねて怖いもの知らずの、まさに「正しいシニアデビュー」を絵にかいたようでした。この空気であれだけ表現できるっていうのは凄いよね。SP2位かつ先輩がちょっと落としてしまったので周囲ががやつきそうですが、あまり気にせずがんばってもらいたい。ここでどんな結果であっても、それはただのファーストステップなのだからね。

エレーネ・ゲデバニシビリ「セル・ブロック・タンゴ」
大好きな映画の大好きな曲で、しかも大好きな選手ときたら楽しみにせざるを得なかったのですが、ちょっと不発。プログラムは悪くないんだけどこの曲ってやっぱり歌ありきなので、たといダサくなっても全体にメロディをなぞる楽器が入ってた方がいいような気がした。ルックスと衣装と曲は合ってるんだけど、タンゴっぽいキレはもっとどうにかできそうだし。ジャンプミスが響いて、FSは地上波の隙間にボッシュートされそうな位置に。やーん。

キャロライン・ジャンリベルタンゴ
そういや地上波放送された人のうち3人がタンゴだったのねえ。一番タンゴらしさが出ていたのはキャロラインだった気がします。2Aは相変わらず苦手そうかつ止まりそうですが、直前にぐにゃっと沈み込む癖が改善されていたのが見て取れました。スピンは相変わらず眼福だし、曲芸っぽさもなくなってきたし、なのにまだもう一歩抜け出せませんねえ。どうしたものやら。

レイチェル・フラットサマータイムほか」
女社長っぷり健在。いい意味で貫録増してる。レイチェルのリズムの取り方は非常に粘りやためがあって、佳菜子ちゃんのダンスがあっさりしているのとは傾向がかなり違っていて素敵でした。佳菜子ちゃんがフルーツならレイチェルは肉料理って感じでがつんとくる。「踊ってたねー」じゃなくて「こういう動きがあった」という印象に残るタイプの女子ならレイチェル・フラット鈴木明子かって感じなので、今季ダンスプロをやる人たちは身近なお手本ということで見習うといいと思うよ。中盤以降は明白に手拍子展開だったのにイマイチ乗ってない名古屋のお客さんめ!昨季の「Sing Sing Sing」でもあったステップ中の「あっついわーもう」みたいな振付も健在で、女子の中で一番楽しかったなあ。もっと演技構成点出てもいいと思ったんだけど。

キーラ・コルピ「虹の彼方に」
美しい人が美しい衣装で美しい演技をするというのは本当に心洗われますね。わたし、正直ユーロ勢の中でキーラについては印象薄めだったのですが、今回ちょっとコルピ・フィーバーが心の中に来ています。ようやく「美人だけど選曲と衣装が奇抜で、よくすっぽ抜ける子」という自分の認識を改めるべき日が来たらしいので、とりあえず北の方に向かって謝罪。今までどうもすみませんでした。
いや、衣装とプログラムのどんぴしゃ具合以外にも、やっぱりフィンランド勢らしく端正な滑りをする人だなとか、2Tになった後に3T付ける男前っぷりは健在とか、そういう色んな発見がどしどし2分半の間に生まれるという素晴らしい演技でした。最後の虹をなぞるような可愛らしい振り付けと笑顔は、わたしがジャッジならかなり点数だすぜってくらい魅力的でした。思い出すだけで幸せになれる。はうん。

カロリーナ・コストナーガリシア・フラメンコ」
衣装レベルは相変わらずGOEがコンスタントにつく感じ。昨季はしんどそうなカロリーナばっかりを見ていて、前半なんて特に衣装もいまいちだったので、ミスしても下を向かずにきりっとしているカロリーナを見れただけでありがとう!って気持ちです。勿論、演技も良かった。手足が長くて形がぱしっと決まるから、独特の味わいがあってかっこいい。今日のカロリーナは半端なくいい女でした。まあ、何が起こるかわからない選手ですし、故障も抱えているという噂がありますから楽観は禁物ですが、これでFSを纏める事が出来たら、彼女はもう「大丈夫な人」だなあと思っていいのではないかと、今からちょっぴり期待しています。

浅田真央「タンゴ」
今までよりも格段に表情が豊かで、どういう風に音楽を表現しようか考えてきたことが伺える演技だったと思います。個人的には、タンゴならもうちょっと見得を切ったほうがいいかなと思いました。キャロラインのタンゴはばりっばりに見得を切っていたので、あれをちょっと盗んでみるくらいの感じで。序盤のミスのせいかステップがちょっと流れ気味になってしまったので、あそこに見せ場感やらダンス感が出てくると相当面白いんじゃないかと思います。演技後のインタビューの様子にも、一段上がった印象を受けました。去年のロシアでSPを失敗したときには「どうしよう…」という自問自答が聞こえてきそうだったけれど、今はちゃんと自分で簡単にゆかないことをわかっているようで。だからこそ、インタビュアーさんは点数と順位とジャンプのことじゃなく、彼女が自分の志したタンゴを演じられたかどうか、そこについてどんな評価を自分でしているかについて尋ねてほしかったなと思います。たぶん用意してたと思うよ、答え。


そんなこんなで波乱の展開…なのか…。点の出方については、GPSが終るくらいには傾向が見え始めているんじゃないかなと思います。ファンとしてもやきもきしますが、一番やきもきしちゃうのは選手自身だと思うので、あくまでみんなを暖かく見守っていこうねと思ったのでした。全体的にはプログラムがきっつきつじゃなくなった分、それぞれの選手やコーチ、振付師の創意工夫がみられて、色んな音楽が聴けてダンスが見られて、すごく楽しかったと思います。ではまた明日。現地の人もテレビの前のお友達も、みんなで楽しみましょう。