ローラーガールズ・ダイアリーを観たぜ!

目黒シネマにて鑑賞。わたしは大抵2本立て上映でも1本しか観ないという勿体ないヤツです。だって映画を2本ぶっつづけで観るには体力必要だし。今回も、昨日は遅くまで結婚式の二次会だったし朝はまあそれなりに宿酔だし、同時上映のTHIS IS ITは観たことあるし…ということで1本だけだよ。
さて本題。ローラーガールズ・ダイアリーは名作でした。かなり泣いた。映画館出てからも泣いてたので、すれ違った人はぎょっとしたであろう。思春期の女の子に対する、あるいはかつて思春期だった女に対する救いがそこかしこにちりばめられていて、それも一方的ではないという素晴らしい映画でした。
個人的に一番好きだったのは、家出から帰ってきたブリスがお母さんと会話するシーン。冷蔵庫にハートのマグネットがあって、それが母娘の間にちょうど来るという視覚的な意味でも可愛かったのですが、娘が言いたいことを伝え、母親がそれに応えるという会話がさりげなく、でも本当に丁寧に表現されていました。ああいう「本音を言い合う」シーンって感動的にやろうと思えばいくらでもできるんだけど、それじゃリアルじゃないじゃん。母親と対立したことのない娘ってたぶんいないと思うけど、その対立については「お母さんがもっとわたしの話を聞いてくれたら」と思うのと同時に「わたしがもっと伝えられたら」っていう後悔もあると思うのよ。どーんと喧嘩して、ばーんと殴り合って、わーって泣いて「ありがとう母よ!」というメロス的な展開じゃなくて、ちゃんと伝えあったからブリスとママはうまくいくんだよ、っていうことに救われた気分です。子どもの思いに親が絆される展開って嫌いじゃないんだけど、あくまでドラマとしてのキーになっちまうことが多いので(天使にラブソングをの2でのリタとママとか)、ママにはちゃんとママの思いがあるけど一番大事なのは娘の幸せで、娘はやりたいことがあるけど心のどこかでママの期待に応えて誇りに思って欲しい…っていう相思相愛故にすれ違う感じが丁寧に掬われていました。
母娘関係に限らず、全体的に大人が(すっごいメイクしてたり荒くれ者っぽい人でも)みんなちゃんとしていて、マギーはチームのキャプテンとしてはブリスの家出を助けるけど、自身も母親である身として「本当の家族とちゃんと話しあいなさい」と言ってくれるし、ライバル役のメイビンもすごくいい女だし。ブリスは正しい!と皆で持ち上げるんじゃなくて、駄目なところは駄目だと言い、それでも嫌いになったりはしない…というのが素敵。ローラーゲーム参加者じゃない人たちも、パッシュは「勉強を頑張って街から出ていく」という夢をちゃんと自力で掴んでいたり、アンバーはブリスが嫌っていたミスコンにちゃんと打ち込んで自分なりの成果を出すし、それも全部ひっくるめて評価されてたのが嬉しい。あとは彼氏のダメなところがこう…悪い男じゃないんだけど無神経というか鈍感というかボンクラなんだね!うん、若い男ってそうよね!的な感じだったのも好き。
わたしは痛いの嫌いなんでローラーゲームをやりたい!とは思わないけど、でも滑ってる人たちは本当にかっこよくて素敵でした。ミスコンとローラーゲームという正反対のものがいいモチーフになっていて、でもどちらも「ファイター」という言葉が似合い、「ファイター」であることでチームが、母と娘が、家族が、友人同士が、ひいては映画に出てくる人々ぜんたいが繋がっていて、かっこいいなあと思いました。親とか先生とか友達、あるいは自分自身などの「誰かの理想論」に窮屈さを感じたことのあるひとは絶対観て損はないと思います。目黒シネマでは22日まで。同時上映は「THIS IS IT」。


さて、目黒シネマには今度「告白」が来るのですが、同時上映が「下妻物語」の週と「嫌われ松子の一生」の週があります。どちらも大好きな映画なので今度は2本立てしたいのですが、中島監督2本立てって果てしなく脳みそが疲れそうだよ。真ん中取って「告白」だけになる可能性も高そうだぬー。