Dreams on Ice 2010のテレビ放映分

フィギュアスケートってファンとしてきちんと向き合おうと思うと芝居や映画以上に大変なもので、だからこそ日常の色々にかまけて全然フィギュア関連のブログ書いてないんですけど、観るのが好きなことに変わりはないわけなので、テレビのみですがDreams on Iceを観ました。
ワールドカップ中とはいえ、昼間1時間ってどうよ!とか、その貴重な1時間に差し込まれる使い回しの煽りVとか、真央ユナ対決とかもうどうでもいいじゃないとか色々思うところはありますが、せっかく来てくだすった海外ゲストが飛ばされなかったのは良かったと思います。

鈴木明子「ジェラシー」
今季SPとのこと。リベルタンゴのときは「あっこちゃんのタンゴいい!」な感じだったのが、今回は「あっこ様のタンゴ素晴らしい!」みたいな気分に。彼女、目力が強いのはいいんだけど、それが前に出過ぎて怖い部分もあっただけに、この「ジェラシー」はもっと引きも含めたアピールというか、色気というかを感じさせる、つまり「相手の男もこれなら怖がらないぜ!一緒にアバンチュールしちゃうぜ」っていうタンゴだったと思う。
村上佳菜子「Be Italian」
「ポスト○○」とか言われがちな佳菜子ちゃんですが、もはや唯一無二の「村上佳菜子」を目指すようなタイプのスケーターだと思った。ミス・ボルティモア・クラブでの「大人の考えたセクシー」ではなくて、なかなかに迫力があるんだけどあざとくないポップなBe Italianで、この曲をこんな風に滑れる人は他にいないだろうな、と。
勿論、この曲の意味とかシチュエーションを考えるとベストマッチとは言い難いし、いかんせんあっこちゃんのタンゴという大人度高いものの後だったから「やっぱりこどもだな」と思ったけど、媚びたり「大人の考えたセクシー」あるいは「わたしの考えたセクシー」に染まったりせず、「自分がこの曲をやる」という気持ちがちゃんとあったように思う。
ちなみにわたし映画のNINEは未見なので、この曲のイメージは日本初演で田中利花さん(レミゼでテナルディエ夫人を演じるような人だ)が演じていた貫禄ある熟女娼婦で、あまりにも佳菜子ちゃんからは遠いため「もっと大人になってからにしようや」とも特に思わないんだな、これが。あんまり趣味のいい選曲とはいいかねるけど、去年よりかはだいぶ佳菜子スタイルが見えたし。
むしろシカゴやムーランルージュだったら「もっと大人にry」と思ったかもしんない。自分の基準が謎。
高橋成美マーヴィン・トラン「Feeling Good」
メディアでの扱いは悪いのに、なぜか羽生君カットで高トラ放送。や、高トラ観れるのは嬉しいけどさ。
トラン君の色気が3割増えたような気がする。シンプルな白シャツがはためく様が絵になっていた。このあたりの年頃の男の子って、ちょっとしたことで雰囲気が男っぽくなるものなんだけど、トラン君が今年はそれなのかもしれないと思ってみた。
これまたガッツポーズが似合わなそうな曲です。これをやりきれるようになったら高トラもすっかりシニアだろうな。
ステファン・ランビエール「WAY」
「女の子はみんなボクのこと好きでしょ?」オーラがにくいねっ!色男!最近ラテンな曲ばっかで、そりゃランビエールがラテンやったら盛り上がるだろうけどずるいよなって気分でいたから、こういう明るくて楽しくてノリがよくて色っぽい曲で滑るランビエールが見れて嬉しかったです。
はー、しかしファンを「僕の子猫ちゃん」と呼んでいそうなひとだなあ。
ラウラ・レピスト「Jupiter」
DOI仕様のプロ。お心遣いありがとうございます。氷上を気持ちよさそうにすいすいとゆく、レピストさんらしいスケーティングを堪能しました。
平原さんの歌うJupiterはそんなに好きじゃないのだけど、木星じたいは彼女のスケール感ある滑りに似合うと思うので、クラシック版、あるいはショー用ならサラ・ブライトマン版とかで本採用を考えてみてはどうでしょう。幻想の海もタンゴも素敵だったけど、こういうスケールの大きい曲でのスケーティングの良さ堪能プロが見たい。あと、音楽に助けられたのかもしれないけど、レピスト比で背中とか腕の使い方が柔らかくなってたことに感動した。
安藤美姫「Comin' Home Baby」
ショートパンツで色っぽい曲という前評判だったから、楽しみである一方「またセクシー系か」と思ってはいたのですが、実際に演技を観たらそんなことはなかったぜ☆
どっちかというと少年っぽくてユニセックスな感じで、笑顔も可愛い良いプロでした。帽子使いも色々と工夫があって楽しげで、ちゃんとショーナンバーしてた。有香さんがSOIでやりそうな演目だなっていう。現役選手のEXって、あくまで競技に活かすこと前提のものが多いのだけれど(弱点克服とか新しい一面を〜とか)、このEXは純正・ショーナンバーという感じで、なんていうか「始まったな」感がありました。
しかし白衣装のバラードと赤×黒衣装のアランフェスも披露したそうで。僕らの安藤さんは今季もやる気満々みたいです。あと邪な視点からいえば、ああいう風に上半身の露出が少ないとどうしてもふとももに意識が行ってしまうわけで、肩やデコルテや背中が拝めなかったことは残念ですが、ふともも派の皆さんの気持ちがわかったような気がするのでした。
エフゲニー・プルシェンコ「MALADE」
なんつーか、スター様だった。スター様がそこにはいた。ランビエールのスター様っぷりとは別の何かが。しかしその「何か」が何なのかよくわからないという。うーん。困った。でもいいやプルシェンコさんだし。
高橋大輔アメリ
ランビエールは自分が振付してもランビエールだったとさ。笑。どこを切ってもランビエールらしい動きが入っていて、これが若いスケーターなんかだったら「ランビエールが滑ればいいんじゃね?」と確実に言われそうなプログラム。ただ、高橋君も十分に濃いスケーターなので、どう進化していくのか見たい気持ちが強い。
個人的にLuv Letterがあそこまで開放的になった彼なら、この「アメリ」でも飛ばせるんじゃないかと思ってます。あと、マイムはもっとしっかりやったほうがいいと思うの。
しかしまあ、アメリっていい曲だよね。ロマンティック全開で。個人的にはサラ・マイヤーアメリが大好きだったので、女子でも誰かそろそろアメリやんねえかなと思っている次第。ミンジョンなんかは似合いそうだ。アメリ
浅田真央「バラード1番」
彼女が本気でバレエ的になるために必要なこと、鍛えるべきことが詰め込まれているプログラムだと思った。
彼女、ふんわりした動きは綺麗で、だからこそバレエの才能があるといわれるんだろうけど、いまいち動き自体にタメがない。例えば個々のポーズでの手先は綺麗なんだけど、そこから動き出すときに指先にあまり神経が行ってない。それがかつて「ふわふわ」と言われた所以であり魅力なのだけれど、そのふわふわ感をきちんと武器にするためには、もう一段階上を目指す必要があると振付師は考えていて、だからこそ身一つで勝負するため&バレリーナの世界に浸らせるためにロマンティックかつシンプルな衣装なんだろうし、この曲でこの振付なんじゃないかなあと思った。競技スケーターとしての向上心にあふれた、とても要求の高いエキシビジョンだった。
しかし、あのスカート丈ならもっと布は厚い方がいいと思う。エレガントな丈なのにぱんつ透けるとなんだか申し訳ない気分に。ジャンプが飛びづらかったとしても、テッサが五輪で着てたやつくらいの質感は必要だ。背中見せはグッド。

すっかり飛ばされたリード組の「タイスの瞑想曲」がやたらと良さげだったのでBSが楽しみです。あすこの姉弟はロマンティックなプログラムもいけるのが強みだと思う。強化中らしいリフトも頑張ってほしい。羽生君がオディールだったとかオデットだったとかいう話なのも気になりますし、南里君の自分メドレーも楽しげでした。村主さんのベリーダンスも面白そう。ダイジェストですらなかった町田君のダークアイズの評判が高いらしいことも気になります。
そして五輪入賞者のくせにダイジェストにされちまった小塚崇彦君ですが「逃走中」では身体能力を活かして大活躍でした。ぶっちゃけ今までのどの衣装よりも忍者ルックのほうが似合っていたので、彼にはぜひああいう和風な格好でZABADAKの「ポーランド」あたりをぎゅいんと滑ってほしいものです。変拍子だし。