ようやく「告白」を読んだので

本屋大賞を獲る前から「君はこの話好きそう」といろんな人に言われていたのですが、ようやく読んだよ。おっきい試験が1個終わったから、自分へのご褒美的な感じで。でも自分へのご褒美が「告白」ってどうよ。

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

結論から言うと、少し期待しすぎたのかもしれないと思った。
話自体は面白かったんだけど、わたしがミステリに求めているものが薄かったというか。後味の悪い話は好きなんだけど、先生の話、美月の話、母親の話と積み上げてきた薄氷の上に立つような薄気味悪さや正義とは、真実とは何かというところが少年ふたりの話でものすごく浅はかになっている気がする。まあ、むしろ「こんなくだらない子どものせいで先生の娘は死んだんだ」というところに落としたいのかもしれないけど。でも、そこまでのギリギリのリアリティが少年Aの告白で薄れてしまった感があって。彼の目論見が嘘なのかと思っていたら、最後の告白で真実性が証明されちゃったしな。ちょっとこの落とし前の付け方は現実との乖離がすごい。その乖離の中に真実味を滲ませる桜庭一樹みたいな書き方ならまだしも、ここかよ!ってところで現実から浮遊しちゃったから違和感がぬぐえなかったのでした。
わたしの好きな後味の悪さは胃の奥がさあっと冷たくなるようなもので、そういうのを勝手に期待したから拍子抜けしてるんだよなあとは思う。後味の悪さマニア歓喜な感じではなかったな。でも映画はちょっと楽しみです。
後味が悪いといえばこのへん。
プレゼント (中公文庫)

プレゼント (中公文庫)

構成に甘さがあったり当たり外れが激しかったりするんだけど、この人の小説を好きなのは後味が悪いからに他ならない。うわー気持ち悪い!なにー!もーやだ!と思いたい人にお勧め。
でもって、後味が悪い以外に特に何もないタイプの小説はこれ。
クール・キャンデー (祥伝社文庫)

クール・キャンデー (祥伝社文庫)

この最後の一言のために小説が構成されて、背筋ぞわーっ!みたいな。
そんで今年公開の映画原作と言えばこれもお勧め。
悪人

悪人

ラストの寂りょう感とどうしようもなさは絶品だと思う。ちなみに主演・妻夫木聡でヒロインが深津絵里っていうのはなかなかのセンスだと思う。これでようやく天地人のイメージを払しょくできるのね!と思ってしまうあたり間違ってるけど。しかし岡田将生は「悪人」であの大学生をやって「告白」ではウェルテルか!なんていうか売れてるなあ。いいことだ。