スケートアメリカ女子シングル覚書

スケカナが始まろうとしている中、どうにかスケアメの女子も見終わりました。シニアデビューの若手、20代後半のベテラン、上を狙う中堅、当代きってのエースと役者が揃い、試合として非常に面白かったと思います。特にFSの後半グループはGPSらしい面白さに満ちていて、目が離せませんでした。以下、つらつらと箇条書き。

・カラデミルちゃんのぴんと伸びた背筋と美しいポジション、堪能しました。ジャンプはまあ…しょんぼりでしたが。衣装も選曲も似合っていて素敵だった。FSのタンゴはシングル選手としては珍しいくらい「相手」のいるタンゴだったなあ。ぴっと凛々しいのにひとりの踊りじゃない感じが独創的で、これは是非保存版の演技を期待。

・上半身の使い方がもっと柔らかくなるといいなあと思い続けて久しいポイキオさんですが、それでもなおピアノのきらきらした音を拾うのが本当にうまい。なんだろう、この感じ。細っこくてバレエ的な動きの子がうまいのは普通な気がするんだけど、そうじゃないし。自分の表現したい世界を持ってる人の演技は技術が決まらなくても美しいと思った。そして、やっぱりこの人のピアノ・レッスンをどこかで見たいなー。年齢的にも今シーズンである程度区切りだろうけど。

・ギルスはなんでFSの衣装変えたんだああ。あの芋可愛いレトロアメリカンなOn the town衣装好きだったのに…しかも変えた後の衣装は何の変哲もなさすぎる青衣装…アメリカの若手がよく着てるやつ…ああもう、戻すか変えるかしてほしいなあ。アメリカ人がアメリカンっぽい曲をやってるのを見るのが単純に好きなので、このプロ好きなんだけど。乗り切れなかったのはやっぱり衣装が(しつこい)!いやー、だって勿体無いよ。この衣装じゃレトロアメリカンな空気が出ないよ。

・手垢のついた曲が本人の瑞々しさで新鮮味たっぷりになるのは見ていて気持ちのいいものですが、ヘッケンのFSは、テレ朝さんのフィギュア煽りで使われすぎて飽き飽きしていたWonderlandがとても良い曲に聞こえ、ああ…いいなあとしみじみ思ってしまったのでした。長身だしモダンな衣装も似合いそう出し、SPみたいなロミジュリ路線よりこっちのほうがいいなあ。シルク・ドゥ・ソレイユなんかも似合いそう。伸び伸びと明るい曲が似合いそうな選手だ。

スウェーデンの伝統なのかもしれませんが、ヨシちゃんはSPもFSも「表現」に対する気持ちがすごく伝わってきた。FSのトンデモ編曲の意味を知りたいのは私だけではないと思うけど!なぜ運命→ある日どこかでゴッドファーザー?あとSPの前髪が可愛かったです。眉毛はもうちょっとしっかり書こう。

・私のよしこはみんなのエミリーでした。人気ぶりに驚くと同時に、やっぱこの人が滑ってる姿を見るのがみんな好きなんだろうなと思った。ちょこちょこジャンプミスはあったし、序盤のつなぎが…とか曲とのテーマの兼ね合いが…とか色々思うところはあったけど、それ以上にエミリーの演技が見れることが幸せで、少し泣けた。男子のブラッドリーと女子のエミリーに対する空気は、そういう部分でちょっと似ていた。

・ゲデ子はSP・FSともに衣装変えてきたようで、特にSPに関しては安心しました。あれはもう眼福を通り越して心配の域だったので。いやあ、今季のゲデちゃんは本当にいいと思います!何よりプログラムが良くてコーチと仲良さそうなのが!あとはジャンプが噛み合うようになれば、もう一段上にいける選手でありプログラムだと思うのですが。

・SPもFSも3-3を決めたナイスガッツ・グレボワ。しかしジャンプが終わると途端に気が抜けるグレボワ。FS中盤に3-3決めたときは思わず目を疑いましたよ。いやーすごい。しかしSPの衣装はなぜあんな風なんですかね。エデンの東と蛍光グリーンの相関関係は。あと「スペイン奇想曲」は華やかで明るくてとっても良い曲だと思います。

・村主さんブラボー!SP良かったわあ。こういう柔らかなクラシックをスピード感溢れるスケーティングで見せる貴女が好きだったのよ!
芸術性とか演技派とか言われることが多いですが、やっぱり「速さ」あっての村主さんだと思うので、今季は路線もいいし、プログラム自体もいい感じで仕上げてきているなあと思います。中国でのうすらぼんやりした感じがなくなった。後半の失速は全日本までに詰めてもらえれば。パシュケビッチ氏のとこなら放っておかれることもないだろうし、密にコミュニケーションを取りつつ持ち味の速さを活かしてほしい!FSの衣装は中国のよりこっちのほうが好きだけど、手袋がちょっとゴム手袋みたいなのはどうだろう。

・ユリア!ユリア!今季のセベ姐はどうしたんでしょう。こんなに序盤からキレキレでもいいのかという身体の仕上がりときたら!SPは思いきりの良いガッツポーズが拝めて幸せでした。FSは渾身のガッツポーズ…とまではいかなかったけれど、充分良い内容だったと思います。この時期にノーミスされちゃうと、ユーロ勢の本番である年明けからが怖いので、仕上がりなかなか、出来はそこそこくらいだと安心する。そして今季は衣装もいいよね!SPの深い青と銀色、とても綺麗だ。ヘアスタイルも似合ってる。綺麗なお姉さん。やっぱり髪型や衣装が充実していると、良いシーズンになれそうな気がするんだよなあ。

・レイチェルあいらびゅー!SPは女優降臨といった風体で大層驚きました。国別EXの「One day I'll Fly Away」(ムーランルージュの)も曲がかかった瞬間に役にすっと入って驚いたのですが、まさか競技で曲がかかった瞬間に女優然とするとは!恐ろしい子!リンクがステージに見え始めるのだから大したものだ。日本だったら最後のステップで手拍子しまくりだね。裏拍で(←リスペクト・スウィングガールズ)。
パガニーニの主題による狂詩曲」って去年日本のジュニア勢がやたらと使っていて(西野・羽生・村上)、あのクソ忙しいリズムに追いまくられる気分になるからあまり好きじゃない曲だったのですが、レイチェルのは本当に良かったです。彼女自身が曲をぐいぐい盛り上げて乗っかってばびゅーんと駆け抜けていった。
3-3入り、LzとFが2回ずつの5種7トリプル構成については皆様が言及されているので、私は「オトコマエだった」とのみ付け加えておこう。っていうかジャンプの凄さよりも、あの女優オーラと美人オーラがどこから出ているのかが私にとっての最大トピックなのだ。実は。美形でも垢抜けてもスタイル抜群でもないのに、なんなのあの女優オーラ。ああ、あれが北島マヤ(違う)

・ユナ子さんの007はさらに得点が上昇していて、その理由もよくわかるんだけど、そして良いプロなんだけど既に予定調和感が自分の中で生まれてしまっているのが不思議で仕方ありません。ベタなプロだから…っていうのも理由かもしれないけど、私は本当にベタが好きなので、あと「良いベタ」って何度見てもやっぱりすごく面白いという原則があると思うので、そこに至らないまま完成を迎えてしまったとしたら嫌だなーという悶々とした感じがお腹の中に。
悶々としたままジュベールジョアニーのを見直したけど、彼らは小芝居超絶楽しそうなんだよね。「運転してやったぜ!」「縄抜けしてやったわよ!」みたいな。小芝居への愛なのかなあ。表情の付け方はうまいし定評あるけど、小芝居プロって実は初めて?
FSは出来が悪かったけれど、私は007よりガーシュウィンのほうが好きなので、次頑張れ!としか。やっぱ若い子がワクワクして、ベテランがワクワクしてたのに対して、真打のワクワクが足りなかったような気がするです。こういうプログラムを選ぶからには、ユナ子さんには常にワクワクしていてほしいと思うです。立場的に大変だろうけど。