ロステレコム杯男女シングル覚書

母と弟と地上派放送を見ていたら、ふたりともえらく美姫ちゃんのクモお蔵入りを嘆いていた。…そんなに好きだったか、クモ。「もったいないからEXでやればいい!」とまで言い出したよ。何この特殊なお茶の間受け。
総合成績・男子
プルシェンコが滑り終わったときに、心から叫んだアナが印象的だった。フィギュアスケートってアナウンサーが叫べる局面の少ない競技なのに、自国選手の好演ではなく他国の選手の結果に思う存分「すごいっ!!」って言えて、それがもう笑い出したいくらいの「俺・主役」感で、ああ幸せだろうなアナウンサーっていう。稔は悔しそうだったね。ステップが巧妙だぜチクショー!とか言って。
色々言われてますが、私、稔の解説けっこう嫌いじゃないですよ。たまにいいこと言うし、一緒に飲んでる気分になれる(いいのか)。
・小塚君はだいぶ目線下げなくなったなあー。いい感じ。何よりこの曲を好きそうなのがいい。ギタコンいい曲だよねえ。夜明けのマンハッタンみたいな、海がすぐ側にある都会に朝の光が立ち上るみたいな。二十世紀の出来事ってのはごめん、私の貧弱な頭ではまだ理解しきれない。足元でしっかり表現しているのがいいです。上半身がもっと追いついてくるといいなあ。でも、これをモノにすればPCS上がるかも。「地味な子」路線を早く脱してほしいです。
・ボロデュリン、うまくなった。男らしくなった。いやー、アダムといいボロデュリンといい、今後が楽しみだ。特に続行だったFSは、ロシアンらしい端正なタンゴに男っぽさが加わっていて非常に好みでした。プルシェンコのタンゴと比べてどうか?ありゃロシア人じゃなくて宇宙人じゃねえか。一緒にすんな。
・ジョニーさんSPは印象的で毒のある感じ、FSは耽美で優雅な感じなんだね。ここにコントラストを持ってくるには、技術が決まらないといけないんだね…うん。しかしSPは「色んなプログラムがある中で、皆が滑り終わった後でも、ジョニーちゃんの演技がジャッジの印象に残っているような」感じで悪くないと思う。FSは嵌り路線だし。
・ケビンはカジモドじゃないんだ!パイレーツ・オブ・カリビアンなんだ。えーっと。いい演技でした。楽しそうで可愛かった。しかしこのルックスでパイレーツやるからには、衣装はもっとジャック・スパロウっぽくしてほしい。あと、奥さんとキスクラでちゅーする男だったのね!アンタって!
アドリアンのSPがうっとり清楚系で、一緒に見ていた母に「女の子みたい」って言われていて、いやいやあの凶悪さで知られたシュルタイスさんですよ!と思っていたらFSは変で凶悪なプロと衣装で非常に安心しました。スタミナ、当人比で解決されてきたかな。FS叫ぶのはベルントソンさんへの対抗意識?なんちゃって。あーもうスウェーデン1枠…。どうして。
・トレチャコフさんは…もう…旅に出ます探さないでください、みたいな遭難っぷりで…最後は諦めムードすら…ああ…スピン諦めないでっていう…
・ソーヤーのアマデウスはなまじ去年のスケカナFSが記憶に残ってるぶん自分的にハードルが高い。このプロはもっと可愛いんです、SlStのお手々くるくるとか。
・アモディオの五輪枠争い参戦は、まだちょっと早いかなあ。やっぱり他の3人と比べると見劣りするね。リズム感は抜群なんだけど。
・何故、ムロズさんを映さない。
総合成績・女子
女子の試合は「ああーこれこれ。これがGPSよ!」って感じの戦いでちょっと目が覚めました。エリック前に「所詮は初戦」とか言っておきながら、ユナ子すげえええ…真央嬢大丈夫か…カロリーナさん…ああ友加里さん…みたいになっていたので、グランプリシリーズがなんなのかうっかり忘れかけていた。下克上を狙う若手がはじけ、ベテランが意地を見せ、仕上がってない状態ながらも本命がオーラを見せる、みたいなのがGPSだった。
クレオパトラ、何がいいって音の刻み方かな。インパクトとなる音にインパクトのある振りが入っていて絶対に外さない。なんか全然調子よくなかったんだけど、勝てるところで勝つこともジャッジ受けやシーズン通しての戦い方を考えれば必要だと思う。勝ったくらいで舞い上がる選手じゃないし、ファイナルに出ることで疲弊するリスクはあるけど、やっぱり貴重な実戦経験の場だし。
今回、特に得意じゃない3Tを2回の構成にしてきていたけど、GPS中は構成色々試すつもりなんだろうね。地味にスピンの評価が良かったこと、特にSPのレイバックがLv3だったことはすんごい収穫だと思う。しかし「今年はプログラムに不安がない」って…やっぱ去年は不安だったか、選手自身も。
そして海外のプレスからもプログラムの狙いやテーマについての質問が寄せられていたらしく、今の彼女にはそれにしっかり答えるだけの意気込みも語学力もあるので、このシーズン初戦に「4年前とはまったく違う責任感あるアスリートであるとともに、アーティストとしての矜持と強さを持った大人の女性」としての自分を世界にアピールできたんじゃないかと思う。
・着々とレディの風格を身につけているアシュリー。選曲も衣装のセンスも表情もいい。勢い任せぶんぶんポニーテールでガッツポーズ出たよ!タイプだったのが、プリシラ先生のもとで優雅な曲もできるようになっている。カルメンもシェヘラザードもクリスティーヌも黒鳥もいけるクチですね、お嬢さん。ルスランとリュドミラなんかも見たいね。いつか。
内面的にも、2年前「マオ・アサダに会って舞い上がっちゃったわ、キャー!」とか語っていたのが、そのマオ・アサダの不調を受けて「彼女にとって世界の終わりってわけじゃないわ」と慰めのコメントを寄せるなど、ぐいぐい成長しています。まぶしい。いつかすっごい充実したプログラムを素敵に演じて、世界チャンピオンになればいいと思います。そういう選手です。勿論バンクーバーも目指せるし、ぜひ行ってほしいです。
レオノワのファンがこの試合で増えたね。絶対に増えた。っていうか国分太一のドツボなタイプだね彼女。超気をつけて!シカゴはヴェルマだったのかな。ゼタ=ジョーンズのヴェルマから色気70%オフして可愛さとスポーティーさを足した感じ。まだまだ荒いけど、全然守りに入る理由がないので、ガンガン攻めていってほしい。で、五輪が終わったあたりでしっとりした表現や繊細さや丁寧さについて考え始めるといいんじゃないかな。
・アリッサはアリッサ比で安定したのですが、それはあくまでアリッサ比であって油断は禁物です。しかしここまで「出来る子」状態が続くと、こっちとしてもその先を期待したくなるしそれでいいと思う。もう「ジャンプが決まれば御の字」っていう見守り方をやめよう思った。私、彼女が五輪代表になることをきちんと期待します。
・セベスチェンさんは彼女らしいジャンプを彼女らしく転倒していて…もう…今回は久々にいっちゃう?ファイナルいっちゃう?って思ったのに…
でもプログラムは悪くないと思うんだよ。トンデモ編曲だけど。彼女の良さがすごく出ている。雰囲気もすごくいいし。あと、ここ数年で優雅さと美人度が増していて、素敵なお姉様だなあと思いました。大人の色気!
・表現への意気込みは非常にいいんだけど、なんか全身タイツ地球防衛軍とサンバ系?って尖りすぎな気がするよカタリナさん。特にジャンプがあんな状態だと。去年のカルメンみたいに、片方は「ああこれやりたいのね」って誰にでもわかる曲のほうが良かったんじゃないか。
・ゴゼワのFS衣装クジャクみたいで素敵だった。体つきに比べると頭ちっちゃすぎる気がするんだけど、肩出し&手袋がうまくカバーしてた。やっぱ手袋衣装いいわあ。
・ディドルトさんはジャンプが悲しいことになっていました。自爆霊はまだお祓いできてないのか。彼女、すんなり長い手足が美しいんだけど顔立ちは少年みたいな素朴さがあるよね。髪切ったら星の王子様みたいで可愛かった。
シルク・ドゥ・ソレイユより「どうよ!」が出せないジェナのFS「ヴォイス・オブ・バイオリン(らしい)」。色気出てきたんだけど、滑り終わったあとに「よく頑張りました」って言いたくなるのが残念。もうニ、三歩だな。
ラコステSPとギマゼティノヴァさんFSの「秋によせて」対決は私的にギマ姐に軍配。ギマ姐の優雅な大人の女性らしさにドキドキした。さすがベテラン課題曲だけあるわぁ。ジャンプについてはアレでしたが、いいんです。この年で新境地を開拓するギマ姐が見れたから。
・で、ラコステ。彼女はFSのほうが雰囲気出ててよかったなあ。SPは体育教師のようだったよ…。
・鐘は決して悪いプログラムでも悪い表現でもない。だから「GPSは調整」と思っていて、次への課題が見つかった顔をしていてくれればこっちも心配しないんだよ。涙より何よりもあのこわばった顔が気がかり。キスクラでの茫然自失っぷりが見ていて辛い。ミスしたときの友加里さんみたく悔しさや怒りを滲ませたり、美姫さんみたいに納得いかなさを滲ませていれば私は安心するんだと思う。
良くないときの彼女のコメントっていつも調子悪かったと言わない、言ってはいけない、言い訳になってしまう…っていう恐れがある気がする。私、悪かった原因を語るのは全然言い訳じゃないと思うし(例えば「ガスの元栓閉めたか気になって」だったら言い訳だけど)、怪我や時差や体調管理や連戦でうまくいかなかったと口に出し認識する→次に同様のミスをしないための対策を立てる布石だと思っている。ああもう周りが崇める「言い訳をしない健気なまおちゃん」なんて偶像捨てちまえ。もっと喋っていいし怒っていいし悔しがっていい。…そういういい子ちゃんな自分も乗り越えて、もっと怒らなきゃなんないってことか?タラソワ先生よ。
すっごいむりやりに五輪を東大受験、GPSを模試と例えると、タラソワ先生は生徒にひたすら東大の過去問を解かせている感じだと思った。模試自体の傾向や対策はあまり気にせず「難しい問題を解くことで勝ちパターンや地力はつく」という勉強法。
一方モロゾフなんかは「目指すのは東大だけどとりあえず足元から」と言って基礎・練習問題と傾向と対策の洗い出しをしていて、模試でまあまあの成績を取ることでテンションを上げるけど欠点も把握して、徐々に東大への足がかりを作っている。
過去問ばかりやるのも手法としてはありなんだけど、それで模試がうまくいかず生徒のテンションが下がったり、焦ったりしては本末転倒になってしまう。そこんとこ、ちゃんとコミュニケーション取れてるといいんだけどなあ。