Carnival on Iceのサイトにテレ東の本気を見た(85%)

身体が持たないからJOとCarnival on Iceは映像チェックで済ませるつもりだったのですが、最終的に織田信成安藤美姫が追加され、久しぶりに高橋・織田・小塚ならびに浅田・安藤・中野が揃う様子が見れる…ということに感涙しそうになり、気付いたら手元にはCarnival on Iceのチケットがあるわけで。
しかもなぜSSアリーナなのかは置いておく。
そんなわけで改めてサイトの出演者情報をチェックしてみて、良い意味で驚きました。
ええ、キャッチコピーです。
http://www.tv-tokyo.co.jp/coi2009/cast.html
テレビ局のサイトにしては、珍しく気の利いた紹介をされている…!
≪気の利くポイント≫
・年齢について述べない
基本的に「わずか○歳」やら「○歳で○○に」みたいな、年若い天才が大好きな日本のメディアにしては珍しい。まあ、年齢について述べたくなるようなメンバーがいないせいもあるとは思いますが。
・大技について述べない
真央嬢/美姫ちゃん→ジャンプならびに3A、4S、男子選手のクワド等についての言及がほとんどない。唯一あるのはゆかりちゃんの「ドーナッツスピン」および複数の選手に対するスケーティングですが、ショーではまず見ることのない大技ではなく、ショーとして注目してほしいポイントで選手の特徴をまとめた。これは非常に評価が高いですよ(八木沼じゅんじゅん風に)
・選手の背景を知らなければ得られない情報を織り込んでいる
たとえばサラ・マイヤー選手に顕著だと思うんですが、彼女の麗しいルックスやリリカルな演技についての評価だけでなく「数々の困難も驚くべき精神力で乗り越える」という点に関しては、スイスのお国事情や先のワールドの様子を観ていなくてはわからない情報なわけで。いや、いい仕事すると思います。
・ルックスについて触れない
日本のメディアが大好きな「イケメン」「美女」「王子」「プリンセス」という言葉が皆無!素晴らしいです。スケートに注目してほしい気持ちが伝わってくる。
・リンク上の姿を伝えている
「性格がいい」とか「スター」とかじゃなくて、氷の上でそのひとがどうであるのかを端的に表す言葉が多い。観る側にとって雑音となる情報がないのは、難しいけれど大事なことだと思います。


そんなわけで、選手紹介を観ながらちょこっと解説。
荒川静香
06トリノ五輪金メダリスト。プロスケーター魂によって極限まで磨き抜かれた芸術性は、圧倒的なオーラを放つ。日本が世界に誇る氷上の舞姫
→プロになってからの彼女の成長、オーラを抑えているあたりが好印象。あえてイナバウアーについて触れていない点も評価が高いです。ただ「舞姫」というより「女王様」の印象があるよーな。

浅田真央
→後述します。

安藤美姫
07世界選手権優勝、09世界選手権3位、当代きっての名選手は、セクシーに、ときに荘厳に、氷上をゴージャスに染め上げる舞姫となる。
→クワドではなく最近向上している表現力について述べている点、そして彼女についてまわる「セクシー」だけでなく「荘厳」というキーワードでもうひとつの魅力についても触れている点は素敵だと思います。

中野友加里
屈指の高速ドーナツスピンを携えて、世界の表彰台を目指す。アグレッシブに、そして艶やかに。ゆかりワールドの集大成に期待が高まる。
→珍しく特技について触れられたケースですが、何より「アグレッシブ&艶やか」という表現面の強化、優等生のままじゃない友加里嬢についての言及は素晴らしい。しかし「ゆかりワールド」て!すぐりワールドがよぎるよ!ちょっと方向性違うよ!

高橋大輔
世界が待ち焦がれた伝説の男がカムバック!男性の持つセクシーさや繊細さを氷上に立ち昇らせる情熱のアーティスト、満を持して再始動!
→高橋君の魅力を「情熱」や「セクシー」では括らず、男性らしい繊細さにまで触れるとは、おぬしやるな!って感じ。満を持して再始動!というのも気持ちの高まりが伝わってきます。

本田武史
プロスケーターとしてコーチとして。いまも日本男子フィギュアを最先端でリードする男が魅せる、ふところ深いスケーティングに酔いたい
→なによりこの「ふところ深いスケーティング」というフレーズに納得した。私は本田さんを生で観た時の「おうじさまがいるっ!」っていう気分を忘れられないので、そこに言葉をあてはめてくれてありがとうって感じ。だから「最先端でリード」ってたいじゅ…と半ば条件反射的に思ってしまった私を赦して。

小塚崇彦
09四大陸選手権3位。高難度ステップも軽々とこなすスケーティングのクオリティーは世界王者の器と評される。今季大きな飛躍が期待される20歳。
→スケーティング巧者に対する言葉が色々あるのがこの紹介記事の特徴ですが、その中でも彼に対しては「世界王者の器」ときましたよ。もうちょっと彼独特の色気に触れてほしかったような気もする。

織田信成
08-09シーズン復帰後も、世界の舞台で快進撃。技のクオリティで魅せ、エンターテイナー精神で楽しませる。計り知れないパワーが炸裂!
→快進撃の後ろに(ザヤ含)と書きたくなるのは謝りたいですが、エンターテイナー精神だけでなく、去年結構強く感じた「技のクオリティ」を書いてくれたのはとても嬉しい。

サラ・マイヤー
上品かつ鮮烈な演技で、観客の心を清々しさで満たす。数々の困難も驚くべき精神力で乗り越える。そんな強靭さも魅力的なスイスの女王。
→これはとにかく、サラちゃんの去年の辛さを知っていてくれてありがとう、という一言に尽きるかもしれない。

ラウラ・レピスト
09ヨーロッパ選手権で初優勝したニューヒロイン。絹のようになめらかな滑りと高い技術力で、今季は世界の表彰台を射程に入れる21歳。
→写真が美人さんなことも高評価ですが、「絹のような」という言葉にあああ!と思わされた。本田さん=懐の深さ、小塚君=世界王者の器、ラウラ=絹のようという三段ほめ言葉は見事です。

ステファン・ランビエール
05・06世界王者。08年に引退したが、今季は協議会への復帰を決意。音楽性や演劇性の高い作品を氷上で追及し続ける、誇り高き芸術家。
→ひとつ言うなれば「協議会」って!競技会デスヨという突っ込みはありますが。悪くないけどインパクト薄いのは、まあランビエールさんには皆さん良いキャッチを付けているという理由があり。それだけキャラが立ってるんだけど。

サミュエル・コンテスティ
09ヨーロッパ選手権2位。昨季、大型台風の目となった26歳。表情豊かな演技力で、観客の心をつかんで離さないエンターテイナー。
→今気付いたんだけど、ここでブラッドレーが来てれば個人的に完璧だった(織田・コンテ・ライアンの三段跳び道具)。台風の目だけじゃなく「大型台風」っていうのが、彼への皆の熱狂具合を表してるみたいで良いですね。

ジョアニー・ロシェット
09世界選手権2位。強さと女性らしさが共存する演技で、しなやかな優美さを醸し出すオトナの魅力満載のスケーター。
→日本のテレビ局にさえ筋肉的なものをアピールされてたジョアニーが…「しなやかな優美さ」を買ってもらってるよぅ…(感涙)。うん、強く女らしく優美。この共存がジョアニーだ。

ジェフリー・バトル
08世界選手権を制した後に衝撃の引退。唯一無二の世界観を氷上に描けるアーティストとして、職人気質の滑りとともにリスペクトされている。
→本田・小塚・ラウラときて「もう表現残ってないだろう」と思ったスケーティングですが、バトルは「職人気質」ときましたよ!確かに!そして、王子とかじゃなくプログラムの独創性への言及は「よーした」って気分。

アレクセイ・ヤグディン
世界選手権4回優勝、そして五輪金メダリスト。闘う男の魂の炎が吹き上げるようなダイナミックな演技は、氷の王者と呼ぶにふさわしい。
→激しくうなずきながら読みましたとも。確かにヤグさんは王様っす。


アボットとベベは時期的にないのが残念です。追加されねえかな。
とまあ、ここまでは非常に評価するのですが、どうも納得いかねえのが浅田真央に対するコピー。

大学1年生の彼女は世界一自分に厳しいアスリート。でもアイスショーでは等身大の笑顔が輝く。五輪を照準に進化した、最新型マオに大注目!


「大学1年生」ではなく08世界選手権優勝のほうに触れればいいじゃないか。世界一自分に厳しいかどうかより表現面や向上点に触れてあげなよ。極めつけの「最新型マオ」ってなんだ。ガンダムか!!
「ミラクルな天才少女・史上最強のプリンセス」路線から脱したことは評価しますが、これじゃ真央嬢のどこに注目しながらスケート観ればいいのかわからんじゃないですか。ここまで良かったのに、どうして日本が誇る浅田真央への言葉がこういう曖昧さにくるまれているのか。ここは「高い技術力と天性のチャーミングさが、待望の五輪シーズンにどう花開くかご注目!」くらいのことを言ってほしかったです。
まあ、今回一番年下なのは真央嬢であり、他の選手が自分の表現をある程度確立しているのに対して、彼女はまだ模索の中にいるという理由もあるのかもしれない。それこそ荒川さんや友加里ちゃんの開花時期を考えれば、真央嬢が特別遅いわけではないし。彼女が「わたしはこれ!」と思うものができたら一気に花開くと思うし、もしそれが具体的な方向性じゃなくても、いろんな方向に可能性と引き出しのある松たか子のような表現者になれるかもしれない。

でもさあ、でも…!もーちょっと考えてくだされば、タイトルの85%は90%くらいになったのに!むー。