何を今更といわれても仕方のないスケカナFS覚書

色々忙しくて今日やっと録画を観終わったスケカナです。しかし女子FSの最後にキャリエールとコンテスティが入っているとは。嬉しいけれど先に言っておいてけろ。

女子シングル

ヘッケンのプログラムは繋ぎがめためたなんだが、一番好きな曲は「Wonderland」なんだと思います。あそこに差し掛かるなり気合が入るからです。気合がうまく入らなくてステップが遅くても、でもなんかこの曲好きっぽいんだよなあ。むしろ「Wonderland」が単独でSPでもいいんじゃないの?ロミジュリとかやってて、前髪可愛い子だけど、奈也ちゃんとかアリョーナ系っぽいよね。溌剌元気娘☆ヘッケンのほうが世界にアピールできそうだ。

身体が柔らかい、踊れる、ジャンプが高くて綺麗、多彩なスピンetc.スケーターの魅力って色々ありますが、ジェナ・マコーケルの魅力って「楽しそうなこと」だと思うんです。惚れ惚れとするような2Aとかも持っているけど。でも、やっぱりジェナには溌剌としていてほしい。去年のプログラム「ハレム」と「シルク・ドゥ・ソレイユ」は長身で溌剌とした(でも若さゆえの溌剌ではないんだよね)彼女の個性がよく出ていたのだけれど、今年は溌剌とした演技をして曲をサポートしなくちゃいけない分、難しいね。どっちか片方はパンツでやってみないかなあ。とりあえず。

あっこちゃんは固かったなー。やっぱり色々と邪念が入り込んだんかなー。ジャンプが不安定だったことより、キャメルスピンがあまり可愛くなかったことの方が気になった。彼女のキャメル、オルゴール人形みたいに端正で綺麗ですごく好きなんだけど、それが当人比でイマイチだったような。ジャッジ好みのシンデレラになるには、安定した成績を残さなくてはならないのね、きっと。「若手でソチも見込んで上げていきたい人材」なら、もうちょっと甘く点つけてもらえたかもしれないけれど。状況は悪いが度胸でクリアするしかないや(byスキマスイッチ)ファイナルではシンデレラっぷりを発揮してほしいものです。ウエストサイドストーリー、素敵よ。

人間って一度気になっちゃったことっていつまでも気になったりするじゃん?ランビエールのEXの曲が「ぬ、ぬ、脱ぎっぱ〜」と聞こえて笑いを堪えるのに必死になったりとかさあ。たぶんキャロラインの足元ってそうなってる気がする。ハイキックから入るフリップや今にも止まりそうなアクセル、ジャッジは見るたびに「ああ…またか」ってなりそうだよな。表現がいいだけにそこが勿体無いのはSPなんだけど、それに加えてFSはプログラム自体もうすらぼんやりしているし。ジュニア時代のタイスやアヴェマリアが受けたのって「表現力のあるジュニア」だからで、もうジュニアじゃないフィールドで戦って3年目なんだから、むしろもう少し溌剌としたことをやってもいいと思うんだよ。それこそ「ルスランとリュドミラ」とか、くるみ割り人形ならスペインの踊りや中国の踊りなんかいいんじゃないかなと。まあ、彼女自身たぶん柔らかいバラードが好きなんだろうけど!でもあのくるみ割り人形はどうよ。

ラコステとファヌフは明らかに固くなっていたなあ…。うーん。ラコステはまだ仕方ないとして、ファヌフはもっと自分に自信を持って欲しいぞ。怪我でのブランクがあるとはいっても、元々上位にいた選手なんだし。「ミッション:クレオパトラ」いいプログラムだし衣装もヘアメイクも素敵よ。ちょっと今回濃かったけど。エキゾチック路線がよく似合うし美しいし色っぽいし、好きな選手だ。ラコステさんはまだ自分の色が見つけられていない感じ。まとめてしまった。

どうにも3-3が決まらない、そして後半すっぽ抜け癖がついてしまったなあーレピストさん。何だろう。やればできる子なのに。やっぱり欧州女王のプレッシャーとか?彼女に対して青や水色のイメージを勝手に抱いているのだけれど、そういう人がタンゴやスパニッシュをやると独特のエロさがあっていいよね。舞ちゃんのリベルタンゴもキミーのガリシア・フラメンコも良かった…って両方モロゾフ…女の趣味合うのか…。うまく決まってくれれば!と思いながらシーズン終わったらいやなので、巻き返しに期待しています。しかし、ちょっと絞り過ぎじゃないのかレピスト。もうちょっとほっぺ丸い方が可愛いと思う。あとチークの入れ方もふんわり全体に乗せた方がいいと思う。ちょっと「自分の思うタンゴのイメージ」に固執しすぎ?もっとタンゴを自分に惹きつけて演じた方が個性的でいいと思うなあ。

シニアGPS、なにげに初のメダル獲得おめでとうございます。もうちょっと早めに獲るかとは思ったんだけどね。しかしミライさん、今季ちょっと表現に迷いがある感じ?あどけない可愛さを脱して大人のスケーターになっていく最中なんだけど、カルメンが難しい題材であるのは当然として、パイレーツはもっと「おきゃんなおてんば娘」風でもいいと思うんだけど。こう、オードリー・ヘップバーンが女海賊や女騎士をやったらこうなるんだろうな!みたいな感じで。
カルメンの路線も、もっと個性的…というか、色香で惑わす解釈もあれば、誰にも束縛されない強い心の主という解釈もあるように、自分の好きなように振舞って彼を振り回していたらいつの間にか…みたいなのもありだと思うのですが。今思えばユナのロクサーヌって全然エロティックじゃなかったよなあ。あれは本当に「人の心なんてどうでもいいから玩具にして遊んでる」みたいなところが危うくて良かったわけで。ミライさんがカルメンおやりになるなら、そういう路線(と曲編集)でいくとはまるような気がするんだけど、どうよローリー。今のままでは序曲もハバネラも入ったダイジェスト編集だし、ミライ自身も頑張る方向性がぼやけてる気がするし、音楽面でも表現面でもどこにカルメンの照準を絞ればいいのやら。ミライがやるならもっと面白いカルメンもパイレーツもあると思っていただけに、ちょーっと勿体無い。

観るたびに新鮮、観るたびに美しい、そして観るたびにコケry…でも当人比で改善されてる気がする。自爆。アリッサはオーソドックスで非常に美しいスケーターですが、ここまで来たらもうひとパンチ欲しくなってくるのがファン心理の贅沢なところですね。でも惹きこまれましたよ。音楽表現も眼福だし衣装も可愛いし。本当に…ここまで自爆しなくなっただけでも…うう、素敵。しかし彼女は本当にこの曲好きなんだなあ。

以前ジョアニーの演技を観た時、母親が「アラビアのお姫様を演じるなら髪色を暗くするか肌を焼いた方が」と言っていたのですが、その意味が分かった気がする。肉食感が薄いんだ。それが今回の不調のせいか、シーズン序盤だからか知らないけど、すごく品の良いデリラなんだな。だってデリラ怖いじゃん。自分の魅力で男をたぶらかしちゃうじゃん。あるいは「国を救う強き姫」じゃん。でさあ強くて肉食系でギラギラした女って危険でエロくて魅力的じゃん。戦いの女神のような肉体を持ったジョアニーなのに、そこんとこ勿体ないよね。東京では肉食系ジョアニー・ロシェットでお願いします。

男子シングル

基本的にジャッジの言うことは絶対!と思っている私ですが、キャリエールの評価の低さには納得いきません。こればかりは声を大にして言うよ。あの「火の鳥」で大きなミスなく終えてあのPCSの低さは何。何がいけないっていうの?地味だから?髪型?ねえ、なんでー!

だんだんコンテスティのなんちゃってアンデスが癖になってきたんだけど、どうすればいいんだろう。あのハニワみたいなスピンとか(ハニワはアンデスではない)!途中で掛け声入れたくなるステップとか!ああでも「オーレ」だとスペインだからアンデスじゃないよね…でも面白いから掛け声入れたい。日本のお祭り好きの血が騒ぐんだよ、あのプロ観てると。

パトリックはなんだか滑ってれば満足してしまう。もうジャンプ決まらなくてもいいやあっていう域。いや、それじゃメダル争いに入っていくことは難しいんだけど!でもいいものはいいと、彼の滑りを見ていると思う。しかし編曲には疑問が残る。や、音楽の声を聞いているようなジャンプのタイミングやら何やらはいいんだけど。オペラ座が悪いとは思えなかったのだが、これが「オペラ座の怪人」かというとどうも。導入で「オルゴール これだ」っていう老ラウルのパートから入るのはロマンティックでいいと思ったんだけど、そこからの流れがなあ。
以前「役者の声はスケーターのスケーティングみたいなもんだ」と言ってみたのですが、声が素晴らしくて抑揚のつけ方がうまい役者が、演じていた内容がはまるか否かに関わらず素敵に見えてしまうように、パトリックのスケーティングの良さでいろんなことを見逃しているような気がしているんだぜ。「○○さん超良かった〜!」「へえ、どんな風に?」「あー…声、かな」みたいなさあ。いや、それはそれで素晴らしい素養なんだけど、振付が選手の素養に甘えちゃいかんでしょうとも思うわけで。
特に「オペラ座の怪人」みたいな超メジャー曲で、「この曲はこういうシーンで誰が歌う曲」ってのをいろんな人が明確に知っているだけに、音楽と技術が一致してるだけじゃ満足できないのよね。ごく個人的なこだわりだけどさ。でも最後に「マスカレード」が入る理由が「盛り上がるから」以外に思いつかないってどうよ。ローリーや、そんなんじゃ才能に任せっぱなしでプロがいいか否かどうでもよくなるプルグラムを笑えないぞ。「スケーティングスタイルもプログラムも全然好みじゃないけど有無を言わさずプルシェンコ!ってところに痺れる、憧れる(by安藤美姫)」っていうのは、カナダやパトリックやローリーが理想とするスタイルとは全然違うじゃん。クワド有無はともかく、音楽性と技術の黄金率を目指せるプログラムっていうのはさあ!こう、もっとさあ…!!

ブレジナはそんなに北米系が好きなら、北米留学すればいいと思うよ。いや本当に。今はまだ中途半端だなーというのが印象。悪くないんだけど盛り上がりきれない原因が本人のリズム感のせいなのか、他の何かにあるのかわからないけど、北米バトル系を極めるなら極めちゃった方がいいと思う。もしそっちより他に似合う路線があるとしても、一度とことんやってから変えられるだけの時間は競技年齢的にあるし。ジュベールさんみたいになっていくのも手だし。しかしチェコ男子にはもっと重厚で影のある曲が似合いそうだと思ってみる。こともある。

巧いのか巧くないのか、そのへん最早どうでもいい男・アルバン。軸がぶれても必ず着氷するという、ある意味人生論として美しい哲学を持った男・アルバン。しかしSPのエアジョッキーの面白さに比べると、ストーンズはもっとロックスターになりきっちゃっていいと思うのです。途中ギター弾く振りとか微妙にあるけど、もっと熱烈にやっちゃって。しかし「バンドマンだけど実家は金持ち」風だよね、彼。そしてギターというよりベースでリーダーっぽい。じゃあドラムスはぽんちゃんで。ボーカル&ギターはアモディオ…だが、ジュベールさんがバンドにいる図が思い浮かばなかった。陳謝。

デニテン君の凄さは、このプログラムを5年後の彼が滑っても成立しそうなのに、今観ても「背伸びしちゃって!」感がないところだと思います。なんでこんなちっこいアジアンボーイがパソドブレやって成立するのかわからない。でも成立している。ちゃんと表現している。そりゃ「凄い!」って言われるわ。まあ表現の怖さって「あの時のほうが自然に大人っぽかった」と大人になってから言われる可能性もあるってところなんだけど、時分の花に甘えない・甘えさせないプログラムを物にすることで得るものって多いだろうから、そこを大事にしてほしい。ちなみにSPも5年後でも行けそうだよね。メジャーな曲なんだけど若さへの甘えがない振付。若さゆえ!っていう振付をレオノワにしているのを思うと、タラソワさんてやっぱり選手をきちんと見ているんだろうな。そこを踏まえた上で「マオ・アサダのどういう部分を引き出したくて『鐘』なのか」っていうのを聞いてみたいんだけど、どうして「力強い」とか「乗り越える」というキーワードは見つかっても「この曲だ!と思った理由」が出てこないのだろう。まあ、レオノワやジェレテンが言葉じゃなく伝わってることを考えると、真央嬢からそれが言葉じゃなく伝わって来ない限りは、作り手の意思って無意味なんだけど。言葉でわかるもん作ってるわけじゃない人の矜持ってやつよね。

「道」はNHK杯よりも高橋大輔に馴染んでいた。彼がこの曲をやる理由が伝わってきて、今よりもっと伸びしろがありそうだ。ひとつひとつの動きに無駄がなく、マイムがきちんと「何をやっているのか」伝わってくる。そして、彼の身体の特徴(小柄で、他の所作に首の動きが連動しがち)っていうのが無駄なく活かされてるからくどくない。スケートファンではない友人に「高橋大輔の演技ってナルっぽいから苦手」と言われたことがあるのですが(モロゾフ時代)、そういう人にこそ観てほしい作品だと思います。本来のくどさはSPで堪能すればいいかな。っていうか彼はもうちょっとSPの解釈で冒険したほうがいいような気がしなくもない。

ジェレアボの白眉は最初の4Tと最後のステップで、その間はもっと盛り上げられると思ったので、PCS評価が高橋>ジェレアボは妥当だと思いました。しかし良い曲だねえオルガン付。重厚なんだけど華やかで、ジェレアボっぽいよ。そして何より衣装が良かった!有香さんがフリフリ嫌いではないことが証明された!FD衣装のテッサを呼んできて隣に立たせたら結婚式が始まりそうだけどな。中間部の緊迫感が持続すればなお良し。

ファイナル、男女SPとアイスダンスFDの日はどうやら行けそうです。何気に一番の楽しみは007でもゾルバでもなくカペラノの薬物中毒者&悪い妖精プロだったりするという。