中国杯男子シングル覚書

カップオブチャイナ、客席けっこう空いてたね。私NHK杯行くのですが、いまだに7日のチケットが手に入らなくて見切り発車状態なので、あの空席をよこせという気持ちになりました。ふっ。…当日券出るかなあ。
男子リザルト
・「死の舞踏」の肝は疾走感だと改めて思う。織田×マキシムという選択を見るにつけ、この死神はかまいたちのように鋭く駆け抜けてこそじゃないかなって。初見はそれが全然追いつかず、TEBではCiStの前までその空気が出て、今回はSlStの前まで疾走感が出ていた。やっぱSlStの「行くぜ!」でかまいたち感が出ないと、完成とはいかないんだろうなあ。ステップ得意じゃない彼にはきついプロだけど、これは乗り越えないといかん。
そしてFS。プログラムがどうこうの前に言っておく。最終滑走で緊張して階段でつまずきまくり、チャック開けたままリンクに出て行くようじゃまだまだ。そんなんであがって自分をコントロールできないと、大舞台でまたやらかすぞ。クワドは避けといてよかったと思う。中国入りしてから一度も決まってないものを精神的に落ち着かない状態で入れるのは、さすがに蛮勇だし。
・黒衣装が駄目ってんじゃないのよ。カルメンが黒かろうがゾロが黒かろうが全然かまわないのよ。ただ「火の鳥」や「シェヘラザード」を演じる以上、衣装含めて説得力がないのは問題だと思う。黒でもいいけどその曲にその衣装似合うよねっていう説得力をくれよ。
特にシェヘラは悔しいよ。あんなアラビアンナイトを演じるのにうってつけのルックスをしているのに、なんか気の抜けたスケスケ衣装でさあ。なんで透けてるのか理由もわかんないままいらんものまで見えてるし。あんた世界チャンピオンでしょうが。私ライサがシェヘラやるなら、音楽をシェヘラザード妃に見立てるくらいの滑りが見たかったよ。シャハリヤール王が最初は厳しい壁のように妃に向き合って、だんだんその音楽を受け入れていって、最後は情熱的に一体化するみたいな解釈でもいいんじゃないかと思うんだけど。まあ、まだ全容見えてないからなあ。でもねえーシェヘラの衣装はこっちが変なとこばっか気になるから変えてくれないかしら。
ヴォロノフのSPは素晴らしかったんだけど、それ以上にキスクラでのガッツポーズに泣いてしまった。演技後「まあまあかな」みたいな顔して、でも点は全然伸びないタイプの演技で、ウル様はジャッジ資格持ってるからそのことに気付いてるけどいえなくて、点が出て「あ…」みたいな空気になって慰められる…みたいなシーンを何度見ただろう。ああいうのは本当にキツい。だからいい演技にいい得点がついて「やったぜ!」って顔をしたヴォロノフが嬉しくて仕方なかった。
その勢いがFSに持続しなかったのは残念だけど、あえて2Lzを入れてきたってことは体調見ながらあげてくつもりだろうし。やっぱプルシェンコ不在のロシアを頑張って引っ張ってきたのはセリョージャだから、彼には五輪に行ってほしいよ。
・気付けば4位にいるコンテスティさんですが、SPの衣装は農作業始めそうで超かわいかったと思います。大草原の小さな家にああいう人出てたよねっていう。
FSは…なんちゃってアンデスなんだけど、彼の場合「楽しませたもん勝ち」でいいと思う。でも、誰もが脳内にぱっと思い描けるマカロニウエスタンと違って、アンデスは「これぞアンデス」の一般的イメージがどうしても弱いから、それをちゃんとコンテスティ自身が引き付けて表現して、お客さんをアンデス感いっぱいにするしかない。他の選手とゴールが違うような気がするけど(笑)でも、そういう路線をつきつめてほしい。
・ぽんちゃんはとにかく身体が心配なのですが。もうSPのクワドこけでどっか痛めたんじゃないかという心配が。FSはまるでアルバンが乗り移ったかのようなジャンプの降り方をしていて冷や冷やしたよ。シングのステップ、今回追われてたなー。
・皆様、キャリエールさんのSPご覧になりまして!?ひょろっとした体型をカヴァーする、黒だけど地味になりすぎない衣装、力強く華やかな上半身の表現!さっそくプリシラさんの手腕が発揮されていましたわよね。いやーびっくりした。あとは髪型をどうにかすればいいと思うけど。
FS「火の鳥」も去年に比べるとだいぶ表現の輪郭がはっきりした。タノを3連続に限定したのも良い。タノればいいってもんじゃないもの。火の鳥と、火の鳥に憧れる少年を両方演じてるみたいなキャリエールの少年性と静かな情熱にぐっときた。ジャンプは残念だったけど、それはまだまだこれからでしょう。ちなみにFSの衣装は止まってるときは綺麗で羽根モチーフも素敵なんだけど、動くと前身ごろが見えにくくなるのが残念。あと、袖に装飾入れると凝った腕の動きが強調されていいかもしれない。あとはやっぱり髪型(しつこい)
・グァン君の上体の使い方に感動し、ヤン君のしっとりした表現に感動したが、ふたりとも3A跳べないのが…なんで「ジャンプは跳べるけど表現が…」という選手が続いた後に、こういう子たちが出てくるんだ。ふたりとも20歳か…どうにか習得してほしいなあ。特にグァン君のSPはとても感動的だったから、スタミナとジャンプ力つけてのぼってきてほしい。
・皆様、レイノルズさんのSPご覧になりまして!?あの「なんか低空クワド跳んでたピノキオみたいな子」だった彼が、観客にすっごいアピールしてたね!意外とリズム感もあるみたいだし、いやーいい成長を見たわ。ジャンプこけてたけど。去年のタラソワさんの作品よりも、わたしはこっちの方が好きだな。さすがシェイリーン。たとえ今季、身体の成長でなかなかクワド決められなくても、こういうプログラムをくさらずにがっつりやり込むことで得るものってすごく多いと思うよ。
・テン君のシング、あれは「このちっちゃいアジアンボーイは誰?」→「おおジャンプすげえじゃん!」→「うわあビールマンまで!」ってな感じで、だんだんお客さんがテン君の味方になってわっくわくの頂点であのメロディー!わー!みんな手拍子!ついでにフィニッシュでスタオベ!みたいなプロじゃないかと。しかし、序盤がしょんぼりだと追いまくられるようにステップに入ってしまうという、ある種の鬼構成でないのか。
まあ、それができると思われるだけの器なんだろうけど。パソドブレでもだけど、挑んでいく姿勢というか気の強さがすばらしい。これから背も伸びるだろうけど(ライサが言ってたから間違いないと思う)その強さで頑張り続けてほしいものです。
・アルミンはちっこいライサみたいとか思ってごめん。なんつーか、アメリカらしい選手でした。でもまだまだ薄味だよねい。濃い面子の中でのシニアデビュー、超おつかれちゃん。