ヴァレンティナ・マルケイの五輪シーズン

思えばロスワールドでカロリーナが自爆12位だったときに「あ、これでヴァレンティナは五輪にもトリノワールドにも出られないのかな」と思ったのだった。
その後ランビエールが復帰してジャマルオスマンの五輪がなくなり、ヘルゲソン姉妹やギマゼティノヴァさん(ギマゼティノヴァさんはスイスが放出してチェコがいらないといった枠が回ってくるので五輪出られるそうです。よかった)の五輪がなくなり、キミー・マイズナーが怪我でGPSにも全米予選にも出られずに五輪出場がなくなり、ルタイがやらかして彼の五輪もなくなり、中野友加里村主章枝の五輪もなくなり、アルバンとぽんちゃんの五輪がなくなり、ミラとキャリエールが途中棄権し、経営者ブラッドリーもソーヤーも駄目で、ヴォロノフの五輪が消え。どんどんいろんな人が「その場所」に立つチャンスを失っていった。
そんな中で、一番最初にチャンスを失ったかに見えた彼女は諦めなかった。昨シーズンはスケアメの公式練習で怪我、一応試合に騙し騙し出るもの結果をまったく残せず、国内でも若手に負け、ロスワールドも棄権。今季は勿論GPSの出場権なし。それでも国際B大会に無茶なくらい出場しまくり、評価をきちんとあげて、カロリーナが不調だったとはいえナショナルでは勝利をとげ「勝負はユーロまでわからないわよ」という状況に持っていったのだ。
そりゃカロリーナとヴァレンティナの成績も実力も段違いなのは認める。一番わかってるのは彼女自身だろう。ふたりがノーミス同士だったとしても大きな差がつく。ヴァルがノーミスでカロリーナが2コケくらいでもカロリーナが上へいくかもしれない。でも、勝負をする前から諦めるなんてことは絶対にしなかった。「カロリーナと友情を保ちながら五輪を目指すことは可能だ」と言い切った言葉のままに。
ヴァレンティナがどういう気持ちでいるのかなんてわからないけどさ。わたしJスポ入らなかったからリザルトしか見てないし。悔しくて眠れないかもしれないし、カロリーナが3-3とルッツ入って優勝するくらいまで復活してきたなら仕方ないわねおめでとうと思っているのかもしれない。でもわたし、今季の彼女に「がんばったことは無駄にならない」という言葉の綺麗事を越えた意味を感じたの。
諦めないで戦い続けてくれてありがとう、ヴァレンティナ。カロリーナの復活と五輪を喜ぶ人だらけの中で、わたしもそれ自体は嬉しいけれどどうか言わせてほしい。他の「がんばったけど駄目だった」人も、頑張ったことは無駄にならないんだよって。バンクーバー五輪には届かなかったとしても、どこかでその頑張りは生きているものだ。
これからしんどいときには「それでもヴァレンティナ・マルケイは諦めなかったじゃないか」と自分に向かって言ってみることにします。わたしにとって今季の彼女はそれくらい尊い人です。ありがとう。
行ける人も行けない人もすべての思いをのせて、バンクーバー五輪は始まろうとしている。