そのひとが生きていくのはしんどいことだったろうけど

平日の昼間、しかも恵比寿だと「マイケル・ジャクソンだから観に来ました」という人より「ドキュメンタリーだから観に来ました」という客層(私の母親とか、それよりちょっと上くらい)が多いよなと思ったんだけど、ジャクソン5が世に出た頃のことを考えれば彼女らの青春に彼がいたことは世代的に間違ってないわけで、改めてMJの偉大さに愕然としたのだった。
自分や自分の大切なひとのこころさえ満足に受け止められないわたしに、ほぼ神様のような存在になりながら、LoveとかDreamとかをちゃんと自分の言葉で伝えようと願う彼のこころのキャパシティは計り知れない。でも、こんなに「広い」人が生きていくのはしんどかったろうな、正直こんな風な生き方で50までよく頑張ったよねと思ってしまっていたのだ。中盤までは。
ほら、大体ミュージシャンや俳優のドキュメンタリーって深夜残業的な空気になり始めるじゃない。ちょっとイライラしたり、集中切れて苦笑いしたり。彼の仕事は最初からそんなものを超越しているかのようにナチュラルに緊張感が高くて、そういう意味で疲れるドキュメンタリーだった。サービス精神旺盛で、ダンサーの彼を見るあの目(憧れの人が今まさにここにいるんだ!というキラキラした)に必ずこたえて。世界中のトップクラスに囲まれて、自分が全盛期の肉体を持っていないのに中心に立つのは勿論自分という辛さもあるだろうに、そんなことが彼にとって問題ではない、という凄さ。
でも、色々な辛さしんどさをわかっても「伝えたいことがある」「伝えられることがある」と信じた人なんだなあと思った。そのキャパシティの広さ、広くあろうとしつづけた偉大さに私の心は一番震えたのでした。
途中で「こんな風に生きていくのはさぞやしんどかろう」と思った私を許してほしい。こんな風にこんな世界で生きて、それでも自分にできること、自分だからできることを求め実行し続けた人の前ではあまりにも陳腐でした。今なお、神様がいるなら彼をつれていくのもう少し待って欲しかったと思うのです。
さて、映画館へ行くと面白そうな映画が色々あって困りますね。

インビクタス 負けざる者たち
イーストウッド監督で主演モーガン・フリーマンマンデラ大統領役、マット・デイモンがキャプテンという、なんていうか布陣的にも負けざる者たちって感じ。スポーツもので実話だし。
食堂かたつむり
わたし本当に「めしがうまそうな映画」に弱いのですが、予告編の料理がやたらとうまそうだったので。柴咲さんは売れれば売れるほど「君がやりたい芝居は本当にそっちなのかな?」と思ってしまう最近だったのですが、いつまでもツンデレ娘がやれるわけじゃないし(ああでもコトーの彩佳さんはかわええからまたやってほしい)、声を出せない人の役と言うことで、新境地になればいいなと思います。彼女美人なんだけど泣き顔が妙にぶさいくなときがあって、それがたまらなく可愛いと思うのですよね。なんか豚のっけた赤い荷車をぐるぐるやってんのがひたすら可愛かった。
武士道シックスティーン
たぶん観に行かないけどメモ。成海璃子はようやく見た目に年齢が追いついてきた感じ。
あと、時をかける少女仲里依紗で、七瀬ふたたびが芦名星で実写化するらしいんだが、芦名版の七瀬のヘンリーはダンテ・カーヴァーかよ!お兄ちゃん!あと、山田監督が御存命で映画をつくられるうちに、劇場で山田映画体験をするべきじゃないかと思いつつ「おとうと」が気になっています。